開催前から、ある議論が盛んに行われている。女子トーナメントで使用されるボールについてだ。 世界ランク1位のイガ・シフィオンテク選手(ポーランド)が、全米オープンでは男子と女子でボールが違うことについて質問され、「あのボールは酷い」「なぜ男子と同じボールじゃないのか」とコメントしたのだ。 ボールのスピードは男子のものに比べ速いが、その分、ボールを覆っているフェルトの消耗も激しい。 すると、試合がすすむにつれボールが軽くなり、コントロールが難しくなる。 男子と女子でボールが違うのは、4大大会の中でも全米オープンのみ。 全仏オープン、全豪オープン、ウィンブルドン選手権では、女子トーナメントでも男子と同じボールが使われている。 「15年前だったら、女子選手の中にはボールの重さで肘を怪我する人もいたかもしれない。でも今は、どの女子選手も身体的に強くなっている。だから同じことが起きるとは思えない」 「それに、全米オープンで女子にだけ使われるボールは、ヨーロッパでは手に入らない。手に入れたとしても、大会用のボールとは全く違う。だから全米オープン用のボールで練習するときは、いつも男子のを使っている」 シフィオンテク選手のみならず、他のトップ選手もボールについて不満を募らせている。 世界ランク4位のP・バドサ・ジベール選手(スペイン)は、自身のインスタグラムストーリーに、全米オープンでは男女でボールが違うことを、怒りマークの絵文字と共に投稿した。 世界ランク20位のマディソン・キーズ(アメリカ)選手や、21位のペトラ・クビトバ(チェコ)選手は、自分たちのプレースタイルと軽いボールが合っていると語った。 こうした議論を受け、全米オープンを主催するUSTA(アメリカ・テニス協会)は声明を発表。 BBCによると、USTAの広報担当者は、全米オープンで使われるボールが女子と男子で違うことについて「さまざまな要因を考慮した結果」だと回答した上で、「今後も大会側やテニス協会の推奨に従い、大会で使用されるボールを決定していく」とコメントした。 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、全米オープンで女子選手だけ違うボールが使われるようになったのは、1980年代前半だという。 男子のトーナメントで使われるボールは重く、腕や肩、肘に負担がかかると女子選手から要請があったためだと、WTA(女子テニス協会)の広報担当者は述べている。

                                          - 65                                          - 20                                          - 29                                          - 6                                          - 53                                          - 15